カブドットコム証券<8703>の第18回定時株主総会に参加しました
昨年に引き続き2017年6月24日に開催されたカブドットコム証券株式会社<8703>の第18回定時株主総会に参加してきましたので、お土産や総会での質問内容をご紹介します。
カブドットコム証券株式会社 第18回株主総会 概要
開催日:2017年6月24日(土)13:00~14:30(今年は総会後のセミナー無)
開催場所:日経ビル 3階「日経ホール」
お土産:あり
議決権を行使できる株主数:4万1,681名
その議決権数:334万792個
出席参加株主数:11,168名(議決権行使書提出・インターネット上での行使含)
その議決権の数:283万6,890個
銘柄情報
単元:100株
総会前日の終値:375円
株主優待:あり(保有株数と保有期間に応じた現物株式委託手数料割引)
決議事項
取締役7名選任の件
質疑応答
カッコ内は回答者(敬称略)です。
(芦崎)=取締役会長・議長 芦崎武志氏
(齋藤)=取締役・代表執行役社長 齋藤正勝氏
(竹内)=取締役・監査委員会委員長・弁護士 竹内朗氏
Q1 外国株の取扱いについて
他のインターネット証券は外国株を取り扱っているが、カブドットコム証券では取り扱っていない。今後取扱う予定はあるのか、取締役会等で取扱いに関する議案が上がっているか。
A1 システム構築したもののリリースできる状況にない(齋藤)
過去、外国株の取扱いシステムを構築したが、リリースしようとしたが、リリースできる状況にない。ソフトウェアの受託(委託?)を検討を進めている。
MUFGには三菱UFJモルガン・スタンレー証券と連携し外国株や外国商品を取扱うことができるよう検討している状況。
Q2 監査について
今回で監査委員会委員長の竹内取締役が退任するので、法令遵守等、監査の観点からのコメントが欲しい。
A2 行政処分や過怠金処分を受けたところからレベル向上してるがまだ途上(竹内)
7年間、取締役兼監査委員長をやってきて、今年(2017年)東京証券取引所と日本証券業協会から過怠金処分を受けたことや、2年前(2015年)にシステムリスク管理態勢が不十分として行政処分を受けたこと等、結果として不十分なところがあった点については謝罪したい。しかし、まだ途上ではるが監査のレベル向上している。
監査法人も7年でパートナーが交代する点を参考に今回で退任とさせていただいた。
Q3 取締役の出席状況および欠席した場合のペナルティ
竹内取締役は取締役会を2回欠席しているが、理由は健康上の理由か、非健康上の理由か。
今回で退任するためにモラルハザードを起こした給料泥棒ではないか。
また欠席した場合に報酬減額等のペナルティはあるか。
A3-1 (芦崎)
欠席は健康上の理由ではなく、日程調整の問題である。
取締役会に先立って議題等を説明している。また社外取締役については、取締役会以外に社外取締役だけの会合を5回開催しており、そちらでも意見吸収、コミュニケーションを図っており、取締役会への意見反映はできていると考える。
欠席に対するペナルティーについては存在しない。
A3-2 本人による補足(竹内)
電話会議等も活用して出席できるようにしてきたが、2回についてはどうしても参加ができなかった。
ご心配して申し訳ないが、モラルハザードでは決してない。最後の1年も高いモラルを持って務めてきた。
Q4 仮想通貨ビットコイン
A4 (齋藤)
配布資料の中でもブロックチェーン技術を取り上げさせてもらったが、MUFGではMUFGコインの導入等、実験・研究している。
法制度の改正もあり、仮想通貨が取扱い易くなったこともあって、現在、役員レベルでも検討している。ビットコインそのものの商品としての取扱いを含め、仮想通貨やブロックチェーン技術を活用したポイント等、カブドットコム証券が交換所になるのか、発行者になるのかは分からないが、今年度中にお客様に提供できるよう検討して最中である。
Q5 取締役選任の考え方
取締役候補者の略歴を見ると最初からカブドットコム証券に入社した人物がいないが、新卒入社者が役員になれないのでは社員のモチベーションが上がらないのではないか。
A5 取締役はガバナンス観点で選定。なお齋藤は最初からいます。(芦崎)
取締役の役割は経営の管理監督。取締役は必ずしもその会社の出身者が入るものではなく、むしろ社外の目からみて取締役会を運営するのが役目である。
取締役の中に執行役を兼ねる者が2名おり、カブドットコムは合併して誕生したが、社長の齋藤は当初からいるメンバーである。*1
社員のモチベーションを懸念されているが、社員は執行役を目指すことになる。
Q6-1 MUFGの優待について
※ 質問者の日本語が理解できなかったので不正確かもしれません。
MUFGが株主優待を廃止*2し、廃止する前年には変更したが、MUFGはニュースリリースも出していない。三菱東京UFJ銀行は優待変更されても親会社から通知がなかったので優待が変更されていなかった。日本で一番大きい銀行を有するグループに属する証券会社として親会社に対して指摘しているか。何回も担当に問いただしているが自分が納得する答えをもらえていない。(優待廃止について)監査委員会等の上の方には伝わっているのか。
A6-1 MUFGの優待については回答できない(芦崎)
芦崎会長が「当社の優待制度を重要なものとして考えているのか」という点について説明しようとしたところで質問者が「違う」と発言。再度質問することに。
Q6-2 再質問
一番信用取引とかやって株主優待を取れる(クロス取引?)のがカブドットコムだから重要だと考えていると思うが、株主優待はマイナス金利下では配当と同じだと考えているが、親会社は優待廃止のニュースリリースを出していない。親会社の担当に問い合わせても「あっそう?」という感じだった。カブドットコムの担当に問い合わせても「親会社の優待については回答できない」と言われたがそんなことあるのか?
A6-2 MUFG主体の優待については回答できない(芦崎)
MUFGが主体となる株主優待については、私の立場としては何とも回答しかねるが、カブドットコム証券としてのMUFGへのスタンスについては社長の齋藤から回答する。
A6-3 (齋藤)
出来る限り回答させていただきます。
まずMUFGの優待廃止に関する詳細、時系列での正しい理解ができていない点についてはお詫びする。
(「内部統制がしっかりしてないんだよ」という質問者の野次に対して)
そこまでではないと思うんですが……。
(「重大な問題だよ」という質問者の野次に対して)
はい申し訳ございません。
改めて貴重なご意見として承りまして、
(「意見じゃない」という質問者の野次に対して)
はい大変申し訳ございません。
私達も上場会社であるから、この事案に限らず親会社から言われた事項に関して違うと思うことについては、色々な形で意見を言うことは約束する。
MUFGの株主優待の廃止について株主に事前に案内できていたのかという点とそれに対して当社が適切に対応できていたのかという点についてはこの場では適切に回答できないかもしれないので持ち帰り改めて精査する。
いずれにせよ質問者には多大なご心配とご迷惑をおかけするが、決して私どもが親会社のいいなりになっていて内部統制がきいていないということは決してないと思っている。
Q7 他社にシステム的に劣後している点
Q7 なんとかする(阿部)システム担当の常務執行役
カブドットコムでは、現物や信用取引に注力してきた反面、冒頭指摘のあった外国株や債券等は他社に劣っている。
当社が劣っている部分を追いつけるようにし、強みの部分を磨いていくことを執行役の中で議論しており、今まさに中期の目標としている。具体的な日程は言及できないが、必ずこの部分についてはキャッチアップしていくことを約束する。
Q8 NISA口座での手数料
以前、NISA口座での売買手数料が、カブドットコムでは買いが無料で売りが有料になっている点について質問させてもらい、検討する旨の回答をもらったが、その後どうなったか。総会の時だけ検討するといってるのか。
また周りの人間でもNISA口座は期間終了後に時価で特定口座に移管されてしまうため損益が確定してしまうため活用している人が少ない。
A8 NISA口座の売買手数料の検討状況とNISA活用に対する考え(齋藤)
総会や経営報告会等でいただいた要望等は直ちに持ち帰って担当毎に検討している。
質問の件については、営業部門で議論したが、コストがかかっている問題なので、要望を実現することができなかった。今回改めて要望をいただいたということで改めて検討したい。
カブドットコム証券のNISA口座数全体は3月末時点で、13万7,340口座(前年同期比12%増)だが、稼働口座数は3万3,282口座(前年同期比13%減)。稼働率は24%(前年同期比7%減)となっており、あまり活用されていない。
ご指摘のとおりプラスになればいい商品だが、マイナスだと何の役にも立たない。業界としても声を上げていきたい。
Q9 先物OP担保株式の売却について
以前は先物OPの保有担保である株式を直接売れたのが、今は一旦預り証券に変えてからでないと売れなくなってしまったがなぜか、戻せないのか。
JPXでも質問出たが、祝日のデリバティブ取引の稼働を要請しているか。
A9-1 (眞部)
先物OPの担保は翌日の計算となるため、価格変動が大きくなった場合に備え引き出しを制限するために設けた。
リスク管理的側面が強いのでご希望には沿いかねると思うが、ご意見を賜ったので再度検討させていただく。
A9-2 (齋藤)
私も全く同意見である。大証ではFXをやっていたので不可能ではない。JPXの新デリバティブ売買システム(J-GATE)が稼働する際には検討すると言っていたので引き続き働きかけたいと思う。強く声高にやっていきたいと思っているのでご理解ください。
一般信用取引の金利について、カブドットコムでは信用プラチナプランでは2.68%、信用ゴールドプランは3.3%。信用プラチナプランの金利をもって一番低金利と謳っているが、信用プラチナプランは前月信用残30億以上が優遇条件となっている*3。楽天やSBIといった他社の信用プラチナプランに相当するプランの優遇条件は5億以上となっており、誇大広告ではないか。銀行を傘下に持つMUFGのグループ会社として楽天やSBIに負けるような金利でいいのか。
またカブドットコムは信用取引に3年という期限を設けているが、楽天やSBIは信用取引に期限を設けていない。以前、社長にそのことを言ったら金融庁からの指導でやっていると言われた。楽天やSBIの責任者に電話して金融庁からの指導があるのか、期限を設ける予定があるのかを聞いたらそんな指導はないし、予定もないと言われた。
A10 金利と期限の考え方(齋藤)
信用取引は当社が力を入れている主力商品だが、他社との競争も激しいところ。商品の内容は営業部門を中心に適時見直しを検討している。今回のご意見は持ち帰らせていただき改めて検討する。
期限について、金融庁の指導と言った記憶はないが、「無期限」という言葉を用いて広告の表現として不適切と指導を受けた他社の事例*4があるので、「無期限」という言葉を使わずに一定の期限として3年を設定している。これが短いということであれば5年にすべきか10年にすべきか、今後検討していく。
Q11 広報について
昨年は稲垣吾郎、今年は森高千里と知名度が高い人物を登用している。一方で浦和レッドダイヤモンズのトップスポンサー*5もやっているのに周りのサッカーファンはカブドットコムや運用のことをよく知らない。うまく広報できていないのではないか。日本プロサッカーリーグ法務委員会委員長の野宮拓氏が取締役となるので今後に期待する。
また総会後の投資セミナーで山田さんの話を聞くのが好きだったが、無くなって残念。
A11 (齋藤)
稲垣吾郎さんには2014年から3年間お世話になったが、総合的に判断して森高千里さんに変えさせていただいた。
浦和レッズがJ2に落ちた時からスポンサーをさせてもらっているのでリーズナブルにやらせてもらっている。浦和レッズとタイアップ等させていただいているが、埼玉地区で当社が強い等の結果は出ておらず、新しい執行役の中にはKDDIでデジタルマーケティングを手がけてきた者もいる*6ので力を入れていく。
セミナーについては、昨年の総会でキャパシティの問題で、株主にご迷惑をお掛けしてしまったため、今年は分割して実施し来年以降は今年の結果を見て考えたい。
Q12 スマホアプリ
他社と比べてスマホアプリがプアである。特にチャートは紙芝居のようでピンチアウトもできないし、他社でチャートを見てカブドットコムで買うというような状況である。改善予定はあるのか、なければ検討してください。
A12 新しいアプリをリリース予定(阿部)
先日、株ステーションのスマホ版を7月3日~リリースする旨のプレスリリースを出した*7。まずiOS版をリリースし、次にAndroid版をリリースする。
特に操作性にこだわったアプリとなっておりご期待いただきたい。
お土産
お土産は、左上から
- カブドットコム証券のロゴ入りメモ帳
- 森高千里さんのクリアファイル
- 会場で配っていた生茶
- カブドットコム証券のロゴ入りタオル
- カブドットコム証券のロゴ入りボールペン(SARASA)
- 冊子1冊とダイアモンドの記事
でした。昨年と比べると地味になった気がしますが、メモ帳とボールペンは結構使いやすいので普段使いしています。
*1:※ カブドットコム証券は2001年4月に日本オンライン証券とイー・ウイング証券が合併して誕生。日本オンライン証券は1999年4月、イー・ウィング証券は同11月にイー・サンワ証券として設立。カブドットコム証券現社長の齋藤氏は日本オンライン証券立ち上げメンバーの1人
*2:http://www.mufg.jp/stock/benefit/topic/
*3:http://kabu.com/item/shinyo/cost_plan.html
*4:松井証券に対する金融庁の行政処分のことと思われるが、当の松井証券は現在も「無期限」という言葉を使用しており「無期限」という言葉を禁止する趣旨ではないようです。
*5:http://kabu.com/company/reds/
*6:塚本陽一氏:役員候補者決定に関するお知らせ