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カブドットコム証券<8703>の株主総会に行ってきました。

カブドットコム証券第17回株主総会

カブドットコム証券<8703>の株主総会に行ってきたのでご紹介します。

カブドットコム証券株式会社第17回株主総会概要

開催日:2016年6月25日(土)13:00~14:30(総会後、経営報告会とセミナー有)
開催場所:日経ビル 3階「日経ホール」
お土産:あり
議決権を行使できる株主数:4万2,794名
その議決権数:338万2,026個
出席参加株主数:10,980名(議決権行使書提出・インターネット上での行使含)
その議決権の数:286万8,364個

会場である「日経ホール」の客席数はホームページによると610席らしいのですが、満席でした。参加者の多くが年配の方でした。

銘柄情報

単元:100株
総会前日の終値:319円
株主優待:あり(保有株数と保有期間に応じた現物株式委託手数料割引)

http://chart.yahoo.co.jp/?code=8703.T&tm=1y&type=c&log=off&size=m&over=s,m25,m75&add=v&comp=

決議事項

第1号議案:定款一部変更の件
会社法改正(平成27年5月1日施行[平成26年第90号])に伴い責任限定契約の範囲を社外取締役のみから業務執行を除く取締役に広げるもの

第2合議案:取締役7名選任の件

質疑応答

以下、質疑応答ですが要約・意訳している場合があります。
Aの横の括弧は回答者(敬称略)です。

Q1. 今後の配当金・政策について

Q1「配当金は現状維持だが、今後リーマン・ショックのような事態があれば配当金を減らすか?」

A1(能島会長=議長)「(事前に配布された小冊子を使って説明)株主還元は、総還元性向を重視。総還元性向の目標水準は100%。配当金については50%以上。DOEは4%以上。どんなに辛い状況であっても貫いていく。東日本大震災の時は利益が低調だったが、DOE4%を維持した。今後何があっても極力積極的に株主還元を実施していく。」

Q2. 対処すべき課題について

Q2「中期国債ファンドの繰上償還があったが、カブドットコム証券ではシステム上、繰上償還に対応していない。繰上償還に対応する予定はあるのか」

A2(齋藤社長)「ご指摘の通り、十分なシステム対応がとれておらず申し訳なかった。費用対効果を考慮して優先順位をつけている。社名が”カブ”だからではないが、株式と比較して投信のシステムが遅れていることは経営陣も認識しており、どこまで改善するかも含め検討しているところである。具体的な日時の約束はできないが、持ち帰り改めて検討する」

Q3. 売買代金縮小に対する対策について

Q3「課題として収益が売買代金に影響されるということだが、外部環境が悪い中でどんな対策を行っているのか、また行うつもりか」

A3(齋藤)「業界として外部環境に左右されやすい。当社も危機感を持っており、安定的な収益確保するため常に事業ポートフォリオを考えている。当社の対策としては①シェアの確保、②システム提供の大きく2つを行っている。②については、三菱UFJモルガン・スタンレー証券にシステム提供(契約金額約29億円)をした。フィンテックなどシステムの需要は根強くあるため、元々の強みであるネット、システムをもっと深掘りしていくので具体的なことは言えないが、来年を楽しみにしてほしい。」

Q4. 還元方針への意見

Q4「自己株取得よりも配当を重視してほしい。自己株式取得は結果としてDOEが上昇するため配当の下限が低下する。現状の外部環境を考えると安定した自己資本を持つことも重要であり、総還元方針100%よりも配当性向70%の方が良いのではないか」

A4(能島)「配当政策については、そういった意見が取締役会でも検討・議論した上で新しく総還元性向100%、配当性向50%以上、DOE4%以上という基準が一番であるとして今回提示させていただいた。背景としてはカブコムは自己資本400億円を超えてきて基盤があり、配当も行っていかなければならないが、株式の流動性や財務内容を見て機動的に行うため自己株式取得も含めた。」

Q5. カブコムの商品企画について

Q5「カブコムはネット証券の中で何を目指しているのか。日本株重視に見えるが、海外株や投信は?」

A5(齋藤)「ネット証券4社で投資信託については危機感を持っている。株式取引の売買代金のシェアはネット証券大手7社で90%を超えているが、残高ベースだと20%程度しか取れておらず、80%以上が野村や大和のような対面証券である。投信についてはもっと酷く、ネット証券は新規買付設定等では3~5%しか取れていない。預かり残高ベースでは2%も取れていない。投信や外債のようなアセット預かり資産ビジネスは高齢者中心ということもあり対面証券の独壇場である。1社のみではどうにもならないので、年に1回ネット証券会社で集まってイベントを開いたり、ノーロード商品を提供したりしているが、力不足は実感している。今後、マイナンバー導入により金融商品一体課税を本格化する。金商法商品で一体課税の中に入っていないものが今後入ってくると考えられるので、株式等の購入者に先物OPをヘッジとして提供できるようなロボアドバイザーなどを検討している。また投信の積立強化、スマホアプリの強化をしていく。さらにMUFGとしてグループの外国株はモルガンスタンレーと協力していきたい」

Q6. 第2号議案の取締役選任について

Q6「取締役候補者の中に金融キャリアを積んでいない弁護士がいるがボードメンバーではなく、オフボードでリーガルアドバイザーとした方がよいのではないか。カブコムの規模であれば全員金融キャリアを積んだ人物が好ましいと思うが、コーポレート・ガバナンス強化による社外取締役選任義務を果たすための安易な選任ではないか?」

A6(能島)「カブコムは上場時から指名委員会等設置会社(当時は委員会設置会社)であり経営サイドと執行サイドを分離している。当該候補者は、当社役員を6年しており、また今は監査委員会の委員長もしている。企業価値の向上という視点では金融エキスパートだけでなく独立役員が必要というのが世の中の流れである。先日改善命令を受けた際には積極的な発言をしており、企業価値向上に資する適切な選任であると信じている。」

ここで自分を指名されたと勘違いした株主(Q8の質問者)が発言しようとして若干揉める。

Q7. 「女子割」について

Q7「親会社のMUFG株主総会で、カブコムで「女子割」だけでなく「男子割」も導入すべきだという株主提案があった(※)が、「女子割」を拡充すべきではないか。スマホで手軽に株取引ができる時代なのに、この会場に若い女性が全然いないじゃないか」

MUFG株主総会では、「「女子割」があるのに「男子割」がないのは不公平だ」という理由で「傘下のカブドットコム証券に男子割を導入する」という定款一部変更の株主提案がなされましたが、否決されました。

A7(齋藤)「日本証券協会をはじめ金融業界も女性比率が低さに危機感を持っている。当社の口座ベースでは20%程度、取引ベースだと女性比率が5%程度しかないの日もある。アベノミクス以降増えてきていることも事実であり、女子割のほか、テレビCMのタレントにSMAP稲垣吾郎氏を起用したり、スマホのアプリやロボアドバイザーも女性を意識している。私(齋藤社長)はアキバ系には受けがいいが、女性には受けが悪いせいもあるかもしれないので、会社の顔として看板として、もう少し女性にも愛されるように頑張りたい。

Q8. 業務執行役取締役と非執行取締役について

Q8-1「取締役候補者の中で業務執行と非執行を明らかにせよ」

A8-1(能島)「執行=齋藤、黒川。非執行=芦崎、濱本、細見、竹内、長友」

Q8-2「配当性向50%の発言をしっかりと議事録に記録しておけ。また取締役会の議事録はとっているか」

A8-2(能島)「当然とってある」

※Q8は、不規則発言ともとられかねない質問者でしたので可能な限り全文メモしたので再現してみます。(以下Q8内のみ質=質問者、能=能島議長)

「(席から)立たなくていいですか?」

「番号何番でございます?」

「***番、XXと申します」

「はい」

「あのぅ、初めて出席させていただきます」

「どうもありがとうございます」

「いや、株主総会自体が初めてに近い……」

株主総会の質疑応答ずっと今日ここで8番目ですよ。最初に議案に関する質問してください言いましたよね?」

「はい」

「この中で一番良かった質問は6番目(Q6)の質問で、6番目の人XXX番□□さんの質問が一番良かったですよ。私も同じ質問なんですけど、私飛ばされましたけど、私は前から手挙げてたんですけど」

「すいませんでした」

「……同じような質問ですけど、同じ”よう”な質問なんです、実をいうと結論いうと、考えてたことは。だから取られたと任せたんですけど、結論だけいえばですね」

「はい」

「ただ、あのぅ、株主総会ですから議案に関することの質問です。だから後から私、残って言いますけども、残って会社の内容会についての質問は後にします!後で!そんなくだらない質問は後でやります。くだらない質問ばかり持ってますわ。えっと、自分ではくだらないと思ってはいない質問ですけど、議案に関する質問です。議案に関する!質問ですけども。えー、まず竹内さんが質問されましたけど……(Q6の竹内取締役に関する質問と思われる)」

「はい!」

「その前に、えー能島さんと安田取締役、今回で退任、えーどうもお疲れ様でございました」

(会場内に笑いがおこる)

「あのぅ、初めてですけど今回、入っていないのでそうなると思います。あのぅ、役員退職金もないと思うですけど、ここに議案に載っていませんからありませんよね当然」

「ございません」

「えー、議案にないから当然ないと思っておりました。じゃあ議案の方からで、えー、議案は定款変更の件と取締役7名選任の件ということで」

「そうです」

「これに対する質問です!」

「はい」

「えー、うんと、今回、提案の理由にあるように第1号議案、社外取締役っていうのが会社法の改正により、まあ、業務執行取締役じゃなければいいという風に変わったので、そういう風に変えましたですから」

「はい」

「これはなんら全く問題ありません」

「はい」

「私はこれに対して賛成させてもらいます」

「はい」

「ただし第2号議案についての具体的な中身の、私が理解能力なかったものですから、業務執行取締役と業務執行取締役でない人を順番に……(一番重要なところで音声がフェードアウトしていく)1番から順番に……芦崎さん、次回会長ですよね。業務執行取締役になると思いますけど、」

「はい」

「教えてください。えー、2番の齋藤さんも業務執行取締役、当然社長ですからね。次回、次回も社長の予定ですよね?この後の取締役会で。予定ですよね?齋藤正勝さん?業務執行取締役。次の以降が分からないので順番に教えてください。これが第2号議案、今日、よう、ようは、この人ら、うんと次回の取締役になるのが相応しいかどうかを審議するわけですよね?」

「はい」

「そのために来てるわけですよね」

「はい」

「この人らが正しいかどうかの審議に来てるわけですよ」

「はい」

「だから会社の業績のことについては後で話しますよ。質問は」

「はい」

「だから黒川さんはこれは業務執行役員なんですか?」

「えっと、よろしいですか?それは業務執行か非執行かということだけを申し上げればよろしいですか?」

「はい、そういうことです」

「という理解でよろしいですね」

「はい、そこまでは……」

「じゃあ……」

(説明しようとする能島議長を遮り発言を続ける質問者)

「質問まだ他にもあるんですけど」

「いや、もう一問一答ということで……」

「じゃぁ……」

「他にも聞きたい、ご説明をいただか……」

「質問は……」

「はい」

「質問は」

「はい」

「じゃあ一気にいっちゃいます」

(能島議長の回答を遮り無理矢理質問を継続する質問者)

「えっと、クレームに近いんですけどね。ずっと聞いてました。私、1番目の質問(Q1)に対する回答と4番目に対する同じ回答ありました。えー、当然これは、今回の株主総会ですから、議事録にもしっかり書いといてくださいね。でー、だから今後は守られ、守るという、今、議長が答弁したということなんですけど、配当性向50%以上、ROE4%以上は取締役会で」

「DOE、DOEです」

「あ、DOE、DOEは4%以上は、取締役会で決議しましたというなってるんですから、取締役会でちゃんと議事録に書いてありますよね」

「当然です」

「完璧です。で、今回、第1回、1人目の人と4人目の人に同じ回答しております。議長が!だから、これも今回の株主総会の議事録にそのことを答弁して、えー、明らかに、議長が話したいうことを書いといてください」

「はい」

質「で次に、そのー、株主……」

「すいません。先ほども申し――」

(またもや議長の発言を遮り質問を続ける質問者)

「いやくぁwせdrftgyふじこlp;@:、それから、待って待って待って、それから、社長の説明で金融一体化政策で銀行いいましたよね? 説明の中で。投資信託は、今回、えー、……上、あのぅ株式も全部、だけどまぁ普通預金についても今入ってるでしょ?普通預金まだ今の段階では一体化政策の中に入っていないでしょ?」

「質問は、すいません□□様」

「くぁwせdrftgyふじこlp;@:」

「簡潔にお願いします。たくさんの株主の方の――」

「XX(質問者の名前)、XXです。」

「すいません」

「□□さんは――」

「XXさん、XXさん。たくさんの方が居られますので、

「だから――」

他の株主「早く終わらせてください」

(他の株主からも拍手が起きる)

「***番のXXさんのご質問は、業務の執行・非執行、今の第2号議案に関わる形で教えてほしいということでございましたので申し上げます。」

(質問者がマイクを取り上げられてもなお発言しようとするが、議長は回答を継続する)

「第2号議案で、芦崎は非執行です。非執行です。したがって責任限定契約を今回もらいます。それから黒川修、これは業務執行、執行者も兼ねてますので、これは非執行ではありません。それから濱本晃、これは非執行です。したがって責任限定契約をもらいます。細見昌裕も全く同様で業務非執行です。したがって責任限定契約をもらいます。竹内、それから長友については当然のことながら業務非執行です。で――」

「え!?」

「非執行です」

「ということは、社長だけってことですか!?」

「執行は、先ほど言いました黒川と社長とが2人が執行で、他がみな非執行です」

「なんで芦崎さんが非執行なんですか!?」

「なんでって、あのー」

(会場内に笑いが起こる。)

「なんで次期取締役会会長が――」

「分かりました、ちょっと待ってください。質問に答えてますので途中――。あのー、先ほどの、中身の、もう一つの質問内容というのは、その、ちゃんと議事録に残しておけよということでしたけど、当然の事ながら、取締役会の規程の中で記録をキチンと残しておりまして、言わずもがなですけど、当然、きちっと適法にやっております。ご心配なくお願い致します」

「それでは次の質問にお応えいたします」

 

この間約8分間。だいぶ議論が深まってきたということで質問はあと3人のみということに。

この質問者がいなければもっと他の株主が質問できたはずなのに大迷惑ですね。
この株主自身が最初に言っていましたが、株主総会は議案を話し合う場であるはずで、自分の主張を展開するだけの場や自分の暇つぶしの場ではないはずです。

しかも第1号議案には賛成だと言いつつ、質問の内容は、責任限定契約の対象となる業務非執行取締役か、対象とならない非執行以外の取締役かを教えろという第1号議案に関するものです。

Q9. Brexit(英国のEU脱退)に伴う影響について

Q9「今回Brexitによって株価が大きく変動している。5年前(東日本大震災?)にも株価が大きく変動した際にお客の評価損を抱えきれず大きな評価損を出したが、今回のBrexitの業績への影響予想は?」

A9(齋藤)「損失が出ているお客がいるのも事実である。東日本大震災の時も貸し倒れが発生し、最後の最後(年度末)で好業績が一転してしまったが、今回の影響は案内できない。自分が把握している限りでは、一番影響を受けているのはFX。今日現在、直接の立替等が発生しているものは今のところない。月曜日以降も引き続き注視していく」

Q10. 学校で模擬の起業体験ができるような教育に出資をしてはいかがか。

Q10「(長い前置きの後)品川女子学院で実際に模擬店への出資を募り最終的に配当を行う授業があるそうだが、中学や高校で模擬の起業体験をさせる出資をしてはいかがか」

A10(齋藤)「当社、MUFGだけでなく、金融業界は教育に力を入れている。私は2年前から金融庁がやっている教育部会に参加しているが、コンセンサスがもう少しで取れそうなものとして、文科省の認可を得て2023年頃から中学校の教科書に証券市場とかファイナンスに関する内容を載せるというものがある。貴重な意見として、MUFG金融庁を巻き込んで進めていきたい」

この質問者も遠回しな発言で議長から注意を受けました。年寄りほど余計な前置きをしたがる傾向があるように思いますが、どうにかならないのでしょうか。

Q11. 「代表取締役」がいないのはなぜか?

Q11「代表取締役を置いていないのはなぜか」

A11(能島)「平成16年の会社法改正で委員会等設置会社(当時)が設けられ、カブコムもそれを採用した。委員会等設置会社(現指名委員会等設置会社)と取締役会設置会社は機関設計が異なるので「代表取締役」はいない」

お土産

カブドットコム証券のお土産は、マグカップとタオル、モバイルチャージャーでした。

お土産という訳ではありませんが、他に入場前に紙パックのお茶も配布していましたし、ペッパーも会場に来ていました。

カブドットコム証券株主総会お土産

バイルチャージャーは2200mAhですが、小型で持ち運びに便利そうです。

マグカップもMADE IN JAPANでしたし、タオルも日本製のもので意外と良さそうなものでした。

感想

株主総会の会場に株主が入るたびに「いらっしゃませ」という明るい大きな声が掛けられ、荷物を持っている老人がいれば、その荷物を持ってあげるなどカブドットコム証券の社員の方々の対応は素晴らしかったと思います。おみやげも意外と実用性のありそうなものをいただいたので非常に満足でした。

ただ不満があるとすれば、株主のレベルが低かったことです。ある程度の会場が満席になるほど熱心な株主な筈なのにQ8の株主は論外としても、無駄な前置きを永遠喋る株主やそれくらい自分で調べろと言いたくなるような質問をする株主など酷い株主が目立っていました。

質問者以外にも「会場内への飲食持ち込み禁止」と大きく張り紙がされているのにロビーで配布されていたお茶や自分で持ってきたであろう飲み物を会場内で飲んでいる人がいるのには呆れました。

株を持っていてお金も持っているのかもしれませんが、あんな風にはなりたくないとそう思える株主総会でした。